2016年06月01日

1974年のサマークリスマス

サマークリスマス.jpg 1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代
 著者:柳澤 健
 単行本:352ページ
 出版社:集英社 (2016/5/26)
 ISBN-10:4087816109
 ISBN-13:978-4087816105
 発売日:2016/5/26


『林美雄の時代』
「1970年の前半、私は林美雄さんに導かれて色んなものを知ったのだ!」
そんな思いを持つ人がたくさんいるだろうなあと思ってはいましたが、その思いを強く実感できたのは、2年前の「我が青春のパックインミュージック」というイベントに参加した時です。

その時の模様をブログにまとめています。
我が青春のパックインミュージック 「たくカジ!!の日常雑記」より

ちょっと長めですがブログを引用します。
『イベントで初めて、今年が故林美雄アナウンサーの十三回忌にあたるのだと知りました。
 (中略)そうなんだ!それだったら、このイベントも意味があるイベントだと納得出来ます。
 故林美雄アナウンサーあってこそのパックインミュージックだったのだから。
 
 会場には番組の製作サイドの人も多く来られていたようです。
 昼の部には熊沢ディレクター(当時)も来られていたようです。
 懐かしかったのは桝井論平さんのお姿と声、(中略)それから、現在小説すばるで
 「1974年のサマークリスマス 柳澤健とパックインミュージックの時代」を
 連載中の柳澤健さん、そしてそして林美雄さんの奥様文子さんも紹介されていました。』


このイベントで柳澤健さんという存在を知り、林美雄さんのドキュメンタリーを執筆中であることを知りました。あれから2年、ようやくその連載が単行本になったのです。

『深夜放送の時代』
本の帯を担当したのは林アナウンサーと同期入社の久米宏さん。
「この本は、林美雄の、そして僕達の奮闘記です。」

この本の第U章は「林パックの誕生」と題されていて、TBS若手アナたちの奮闘記が語られています。1960年代末から深夜放送の時代が始まります。関東では文化放送が「セイ!ヤング」を始め、土居まさるが局アナとして売り出します。焦ったニッポン放送は「オールナイトニッポン」で追随、亀渕昭信と斉藤安弘そして今仁哲夫が人気を集めました。しかし、TBSは「パックインミュージック」を始めたものの起用されたのは矢島正明であり田中信夫でした。

若手アナを信用しなかったTBSでしたが、少し先輩であった桝井論平アナが突破口となり、遅ればせながら若手アナが起用されるようになります。先陣を切ったのは宮内鎮雄、そして続いたのは久米宏。しかし、久米パックは放送5回で終了します。理由は久米さんが結核で倒れたため。そして代役として登場したのが林美雄さんでした。

では、林パックがいかにして「林パック」なり得たか?
本書を読んで、そのことを少し理解しました。

なぜ石川セリさんの「八月の濡れた砂」を毎週かけたのか?
ユーミンをどのように見出したのか?
林さんのプライベートはどうであったのか?

もうただただ懐かしく、夢中で読んでしまいました。

『荒井由実』
林パックを彩った女性シンガーといえば、先ずは石川セリさんです。
そして続いて荒井由実です。

柳澤さんは、荒井由実の出現についてリスナーの沼辺信一さんのブログを引用しています。

『林さんは『ひこうき雲』が世に出てすぐ、1973年秋からユーミンの紹介を始めるのだが、
 誰もが寝静まった深夜から早朝にかけてラジオから流れてきた『ひこうき雲』や
 『ベルベット・イースター』には格別の味わいがあった。こんなにも繊細で内省的な
 言葉を紡ぎだす少女がこのニッポン国に出現したのだ、という予期せぬ驚きと嬉しさに
 心が震えた』沼辺信一さんのブログより


そうでした!私もラジオを聴きながら心が震えました!すぐにアルバムを買い、京都のシルクホールで行われた荒井由実のファーストコンサートにも行きました。しかし、その熱狂もすぐに冷めていきました。沼辺さんがユーミンの「ルージュの伝言」以降の楽曲に覚えた違和感を私も感じたからです。

実は、『ひこうき雲』と『MISSLIM』この2枚の傑作アルバム。この2枚のアルバムに収めた楽曲で荒井由実が少女時代に書き溜めていた曲のストックはなくなったそうです。しかも、この2枚はまったく売れず、取り上げてくれたのは林パックだけでした。荒井由実はデビュー後2年間まったく売れなかったのです。

柳澤さんは続けます。
『すでに自分はもうアマチュアではない。売れる作品を作らなくては生活していけない。
 いかなくてはならない。キャッチーでダンサブルな曲を作ろう。コンサートも派手にしよう。
 自分自身の感覚や繊細な心の動きよりも、むしろ多くの人が共感できる明快な
 ポップソングを書こう。
 ユーミンはそう考えて「ルージュの伝言」を作ったのである。』

そして、私は林パックを聴いていた多くの若者と同様に荒井由実への興味を失いました。

『山崎ハコ』
パック3人娘の最後の一人山崎ハコさんの登場は、金曜二部の林パックが一度終了し、翌年水曜の一部として復活してからのことです。ゲストとして登場し、ギター一本の生演奏で「気分を変えて」「橋向こうの家」「街」の三曲を歌いました。初めて聞く彼女の歌に心が震えました。すぐにアルバムを買い求めました。何回も何回も聞き飽きることはありませんでした。なかでも「サヨナラの鐘」が好きでした。そういえば一昨年のイベントでもハコさんは林美雄さんの追悼にこの曲を歌いましたね。

幸い、山崎ハコさんについては興味を失うことはありませんでした。いまでも新しいアルバムを買い求め、ライブにも通っています。荒井由実と山崎ハコ。デビュー後全く売れなかった荒井由実と、デビュー・アルバムから売れた山崎ハコ。林パックから誕生した二人の歌姫は、いまだに歌い続けていますが、「自分自身の感覚や繊細な心の動き」を歌う歌手と歌うことをやめた歌手の違いは大きいと改めて思います。

『林美雄さんの愛弟子たち』
柳澤さんは、著作の最後に林美雄さんの愛弟子たちの話を紹介しています。
小林豊さんと小島慶子さんと外山惠理さんです。
小林アナはラジオにはそんなに出ていないので番組を聴くことはありませんが、小島アナが担当していた「小島慶子キラ☆キラ」はずっと聴いていましたし、外山惠理さんは永さんの土曜ワイドからずっとファンで聴き続けています。ちょっと組織からはみ出しているけれど、声は抜群に素晴らしくて、性格はザックバラン。さすが林さんの愛弟子だよな!と思います。林さんの気持ちはバトンタッチされているのだなと思います。

一昨年のイベントに参加されていた林美雄さんの奥様文子さんは、昨年の1月に逝去されたそうです。まだ60代前半という若さでした。

柳澤さんは本書のあとがきの最後に、
『本書は、懸命に生きた人々の小さな記録である。』と記されています。

本書によって、「1970年の前半、私は林美雄さんに導かれて色んなものを知ったのだ!」ということを改めて強く感じました。林さんへの強い感謝を感じながら、この本を読み終えました。

posted by たくカジ!!日記 at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) |
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